森でたべるごはん

庶民的別荘ライフ

別荘づくり、大切にしたかったこと。

間取り第1案

工務店さんから間取りの図面が届いた。

私からお願いしたのは、

 

・外で過ごしたいので既存躯体の半分をデッキにしてほしい
・部屋には3~4人寝られれば良し
・部屋が狭くなるのでお風呂はナシでOK(近くの日帰り温泉に行くから)
・ガス設備もナシでOK(焚き火とカセットコンロで何とかするから)
・最低限の物入れは作ってください
・部屋内部の壁はOSB合板で
・デッキとの一体感が欲しいのでデッキに通じる窓は2つとも掃き出しで
・窓にはシャッター式の雨戸を付けてください
・外装の色は黒で

こんなところだろうか。

リノベーションを提案いただいた時から、この方に全幅の信頼を寄せている私。
後はほぼほぼお任せ状態となった。

 

控えめに言っても、私の生活は忙しい。


平日は、自宅最寄り駅から新幹線で30分くらいの場所に単身赴任中。
日々、仕事から帰るのはだいたい22時くらい。
日中は外勤だから外にいることが多いけれど、メールがじゃんじゃんじゃんじゃん来るので、だいたい常に「メール打ち返し!打ち返し!」「電話、電話!」と焦っている。

 

40後半になって転職したかのような職務になったので、管理職なのに、情けないことに対応能力は追いついていない。
「はて。今なんの処理中でしたっけ?私は次に何をするのでしたっけ?」
となることもしばしば・・・。

 

そんな最中「ママ~、今週日曜日は部活の遠征だからお弁当だよ~」とLINEが来たり、夫から「食材宅配のメニューが来てないよ~」と電話が来てイラっとしたり。

 

金曜日の仕事終わりで、家族のいる自宅へ。
溜まった洗濯、掃除、私の作るご飯を楽しみにしてくれている息子の為にちょっと凝った料理。
だけどだいたい仕事の処理が終わってないので土日もパソコンに向かい、日曜の夜、大河ドラマと日曜劇場を見てから、22時台の新幹線で帰る、そんな日々。

 

ずっとずっと、仕事が生きがいだったし、魂込めて働いてきた。
仕事と家庭は両立していた風だったけれど、家の中は生活感で溢れているし丁寧な暮らしにはほど遠い。
子供にも手を掛けられていないので、それなりにしか育っていない。
(たくましいけどお行儀は良くない…)

その日々の中で、車で1時間半かかる場所の別荘をリノベーションして、自分は何がしたいのかずっと考えていた。

 


 焚き火をしたい。
 ゆっくり時間をかけて料理がしたい。
 森の中で過ごしたい。
 誰にも会いたくない。
 スイッチを切る場所が欲しい。
 仕事を忘れたい。
 ひとりで心を整えたい。
 ぼーっと虚空を見ていたい。
 孤独という人生の伏兵を攻略したい。

 

だいぶ病んでる・・・?笑
いやいや、本音。


家族や親、親族が喜ぶ顔が見たい、というのももちろん。
それから無趣味な夫が楽しめることを増やしたい、というもあった。
いっつも家にいないで、ひとりで勝手に趣味に没頭して遊びに行って欲しいんですけど・・・。

子供は今年高3。
もし県外の大学に進学したら、あと1年足らずで家を出て行ってしまう。
さみしさに押しつぶされそう。
夫とこれからずっと二人って、どうしよう。。。

 

そんなアラフィフの心境が、
本当は住んでいる家のリフォームをするべきなんだろうに、
別荘リノベへと向かわせたのでした。

 

 

木を切るのって大変なのね。

 

冬が来る前に工事にとりかかろうかという矢先、問題発生。

 

別荘の管理会社にお願いして、家の周りで大きく成長した木々を何本か切ろうということになったのだが、業者が見つからない。
というか、何社も見に来てもらったのだが請け負っていただけないというのだ。

切りたい木はこの2本

そもそもこの場が舗装されていないクネクネした細い林道を来なければならない場所で、大きな重機をいれるには木々が邪魔になり、地面もぬかるんでいるところもあり、かなり養生しないと到着できないとおっしゃる。

しかも、家に倒れないようにこの10m以上の木を切るには、かなりの熟練したテクニックを持った職人さんでなければ対応できず、この辺りにはいない、と言うのだ。

 

プロの木こりマスターは、結局、九州から呼び寄せてもらったそうな。

 

残念ながら平日に伐採が行われ、見にいくことができなかったが、
見たかった・・・
ホントーーに、見ておきたかった。
なんならその方にインタビューしたかった!

 

見ていた方が、まるで曲芸師のようだった…と神業を語り、それが口伝えで伝わってさらにドラマチックな物語になる様。
大切なタイミングを逃したかもしれない・・・。

 

どの世界にもプロが存在するものだ。

 

結局、木を切るのには、120万かかりました…ww

年輪を数える息子。「75年!!」。

「家を建てた当初はこ~んなに細い木だったんだよ」

と手で丸を作る父。
そりゃそうだ。
60年の時を物語るな~、という出来事でした。

焼きシイタケと焼きおにぎり

 

別荘、新築か、リノベか。

夏の一枚。ジャングル状態…


始めは建て替えで検討していた別荘。



どうにもこうにも湿気には勝てずカビだらけだったし、壁も腐りかけてボロボロだったから。

別荘地は木々が生い茂って真夏も涼しいのはいいのだが、湿気はどうしても避けては通れず、毎夏、利用していた時代からカビには悩まされていた。

ならいっそ全部ぶっ壊して湿気に強い家にしたい。
そして建物は小さくてもいいからデッキを広くして、外でアウトドア料理を楽しみたい!

そういえば、コロナ禍でリモートワーク部屋としての小屋建築が流行中と何かの記事で読んだっけ。
価格も300万円台からできるとな。
これなら新築できるかも!
そう思ってあちこち見積もりを取ってみたものの・・・。

現実は甘くなく、どんなにサイズを小さくしても基礎作りから入れるとけっこう予算がかかってしまう。
しかもやっぱり小屋は小屋、単なる四角い箱しか作れない・・・。

 

そんな時に出会った工務店さんが現地を見て、こんな提案をしてくださった。

 

「この家の骨組みと土台は生かして、リノベーションにしたらどうでしょう」

 

え?そんなことが出来るの?
だって、ボロボロですやん、この家。。。

冬の一枚



「なかなか面白い物件です。内装の壁も全面OSB合板で、60年前の建築にしてはだいぶ尖ってたと思いますよ。この軽量鉄骨の構造も今では見られないものですし、あえてこの骨組みを見せるようにして、躯体は生かし、半分は家屋に、もう半分はデッキに。基礎は生かしつつも湿気が上がってこないように土間打ちして・・・ご予算内で行けるのでは? てか、逆にリノベでなければご予算内ではできません!

 

なるほど。
別荘は親族みんなの思い出の家。
その趣は残しつつ、現代版に蘇らせようというステキな提案だった。
この方の感性に感激。

「尖ってた建築物」というワードにもくすぐられ、この別荘を建立したおじいちゃん、改めてリスペクトだよ・・・。

というわけで、工務店さんが決まった。
内装の壁は現代のOSB合板、一択。

良い出会いに感謝!乾杯!この日焼いたのはイングリッシュマフィン



なんか疲れちゃって、別荘リノベしてみた。

 

祖先から引き継いだ唯一の資産らしきもの。
それはおじいちゃんが建てた別荘。
子供のころから夏の度に親戚中で使った森の中の別荘は、もう築60年になる。
私たちが成人してからは、父が週末隠れ家的にしか使っていなかったが、その父が数年前に病気をしてからすっかり使われなくなり、あっという間に朽ち果てた。

うっそうと生い茂る森の中に60年存在している別荘

誰も別荘に行かなくなり4年。
私はといえば、入社当時から勤めたセクションから、40後半にして営業部門に異動になり単身赴任に。
息子は高校生だから生活は何とかなったものの(夫も頑張ってる)、まあホントに大変で・・・。

放送局はブラックなのは当たり前。
早朝も深夜も祝日も働き続けるのにはすっかり慣れていたけど、営業なんて話は別!(泣)
オバサンを突然外勤に出させる会社ってどうなの!?
私、なんかやらかした!?
やめろってことー!!(号泣)

そろそろ更年期の話も出てくるお年頃なのにそんな目に合い、疲労困憊、満身創痍。
一方、父は奇跡の復活。
片目の視力を失ったため車の運転はできなくなってしまったけど、この別荘が大好きだった父をもう一度連れていきたい、またみんなで避暑したい。
森でご飯が食べたい。
そして私はとにかく仕事を忘れたい・・・。

屋根から新たな息吹が・・・

ということで2021年7月。
自宅マンションのリフォーム用にとってあった数百万で別荘を生き返らせることに決めちゃった。
息子は大学受験を控えている。お金使ってる場合じゃない。
わかってるけど、なんか、いい気がした。
根拠のない「気がする」。

だって、ずっとずっと目いっぱい働いてきたもん。
保育園に7時までにお迎えに行けたためしがなかったもん。
てっぺん回って帰宅するママなんて、そんなにいなかったもん。
今までそんなにお金使ってこなかったもん・・・ブツブツ
私の貯金だし、誰にするでもない言い訳をあれこれ考えるところが小心者ですw

別荘の前でブツブツ独り言を言いながら焼いた、決意記念のちょっといい肉

再び森でみんなが集えるようになりますように。
仕事から逃れて隠れてられる場所になりますように。
家族に森の中食べるご飯のおいしさを味わわせてあげられますように。
人生後半戦、ダンナと二人で楽しくやれるかちょっと不安だから・・・それもどうにかなりますように!

たくさんの希望を胸に、リノベスタート。